子どもたちを図書館に連れて行った時に、ふと一冊の本が目にとまりました。題名は「黄金の大仮面とおどるガイコツ アンデス文明を書き換える日本人考古学者 島田泉」です。小学校中学年以上と書かれた、漢字にはすべてルビがふられた子ども向けの本です。
ペルーやボリビアでインカ、プレインカの遺跡はいくつか訪ねたことがあります。この本に紹介されているのはプレインカ文明の一つ、シカン文化の発見の経緯と、それに携わった日本人考古学者の物語です。シカンという名前は聞いたことがありましたが、詳しいことは今まで知りませんでした。もちろん、その発見に日本人がかかわっていたことも知りませんでした。1994年に日本各地で展覧会が開かれて紹介されていたそうですが、その頃は日本にいませんでしたし…
話としては、高校生くらいからアメリカに渡り、アメリカで考古学者になった島田泉さんの物語ですが、シカン文化そのものも、発掘者の人生と同じくらい魅力的に描かれています。
専門書を読むと、往々にして大人が読んでも難し過ぎるくらいですが、子ども向けの本ですと要点がコンパクトにまとめてあり、しかも人間ドラマも描かれていて楽しく読めます。
実は、シュリーマンの話もそうですし、ツタンカーメン王の墓の発見もそうですが、結構考古学には人間ドラマも発掘の陰に潜んでいます。最近読んだ本ではマヤ文字解読の物語も面白いものでした。